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- 作者: 株式会社竹尾,原研哉+日本デザインセンター原デザイン研究所
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2004/09/17
- メディア: 単行本
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これまで視覚と聴覚に重きが置かれていたデザインにおいて、触覚というものを考えてみようというスタンスで書かれた本。
正確に言えば、「haptic」というコンセプトに基づいて制作された作品の写真と、製作者による解説が掲載されている本である。
ここで問題になるのがやはり「「haptic」、「触覚」という言葉だろう。製作者の発言もこれに対して微妙に、各人ずれが見られる。単に手触りだとか、使いやすさということを意味するものであればここに挙げられているような作品でなくても、これまでつくられてきたバウハウスのものや、ユニヴァーサルデザインのものなどいくらでもあげることができるだろう。デザインの世界で触覚はそんなに虐げられてきたのだろうか、という疑問も湧いてくる。例えばモードの世界では、コム・デ・ギャルソンなどがそうであるが、いくらでも質感にこだわっている例は挙げられる。
視覚、聴覚、触覚といった複数の感覚も巻き込んで、それらが重層的に折り重なり、それらが絶えず交流を繰り返すようなありかたが「haptic」ではないのか。
そうでないと、単にこれまでデザインの世界で虐げられてきた触覚の復権、という内容で終わってしまうようにも思われるのだが。触覚とは何か、というものをもう少しきちんと語って欲しかったのだが、それは望みすぎかもしれない。
何人かの製作者の言葉はかなり面白いものがある。