exhibition

「コネクティング・ワールド」は一つの行為が次の行為にどのようにつながって、変化し、表現されるかということがひとつの主題となっている。例えばデニス・オッペンハイムの作品では、裸になった息子の背中にオッペンハイムが図柄を描き、それを感じて息子がさらに前に置かれたボードに図柄を描いている。「オン・トランスレーション」と題された作品では、ある文章を英語→日本語→フランス語→韓国語→…→英語等様々な言語に翻訳した場合、もとの文章の意味とは違った文章が出現することになる。
差異を否定的なものとして捉えるのではなく、肯定的な変化、そしてその要因と捉えた作品で構成されている。以前授業で教官が取り上げた「事の次第 The Way Things Go」もある。
ただ本音を言えば、これら企画展よりも常設展のほうが個人的には面白かったのである。作品の一つに液晶画面上で自分で描いた図柄が水槽の中で泳ぐヴァーチャルの生物になり、それを「触る」こともできるものがある。「触る」ということがこの常設展の一つのポイントといえるだろう。触覚に訴えることで、ヴァーチャル的なものの存在を視覚的に感じ取ったりという作品もその一例。他には自分の顔を撮影し、それをデジタル信号で音声化し、ブース内の音もその音声に合成し、もう一度スクリーンに映像としてその音声をフィードバックするという作品やTVゲームのように自分で操作できる作品が多い。
「インタラクティヴ」をコンセプトとするICCならではの常設展ではないだろうか。体験できる作品を提供している大学・産業のなかにはIAMASの名も見られる。


伊東豊雄 建築|新しいリアル」では、前に取り上げた『HAPTIC』という本でも中心的な存在である伊藤豊雄の展覧会。ここでは伊藤の「エマージング・グリッド 生成するグリッド」というコンセプトを軸として、作品―模型など―が展示されている。「エマージング・グリッド」とは水平―垂直構造で構成されていた建築スタイルではなく、正方形をどんどんと回転させて生まれてくる図形であり、それを元に図面を描いている。この発想を用いて設計したときの足場の展示もあり、実際にどの程度の傾斜や湾曲なのかを体験できる。協賛企業のネームが建築現場でかぶるヘルメットに記載されていたのには噴出してしまう。また、畠山直哉氏による建築写真もある。


ビル・ヴィオラ: はつゆめ」
てっきり、ICCでやっていると思ったら、開催場所は森美術館である。ゴージャスな作品と展示というのが第一印象。もちろん、大きな作品から小さな作品までそろっている。ただ、基本的には大画面でのヴィデオアートが多くその意味で迫力がある。
作品を一つ一つ観客が見ていくというよりも、圧倒的な存在感をもった映像の中に放り込まれた感。巨大な作品を見るために、一つのテーマを取り扱った複数のスクリーンをみるために、全身を動かして視線をつなぐのだが、背後の死角にあたる部分にもスクリーンが設置されており、たえず視線を動かさなければならない。観者は、作品をみるというよりも、映像作品の中を泳ぎまわっているとでもいえようか。行ったことはないけれども、旭山動物園のごとく。



ビル・ヴィオラに関しては、インタヴューや過去の作品をICCが「HIVE」でWEB上に公開している→http://hive.ntticc.or.jp/
ヴィオラ展の展覧会場である森美術館では見ることができないので、ヴィオラを見に行く前には、チェックしていったほうが良いかもしれません。



東京オペラシティ



森ビルの展望台からの夜景。あまりの反射振りと手ブレでプリクラの背景みたいにみえる。