所属している研究室がある棟は数年前にできたもので、かなり新しい。

デザインのセンスはともかくとして、きっちりとした―味気のない―つくりなので電波も入らないくらいである。

そんな棟では、節電のためか廊下の電気がまったく消えることが多い。光がまったく入らず、冗談抜きに真っ暗になり、階段を降りるときに足元が見えなくなる。

階段を踏み外しそうになったこともあるので、夜中に昇り降りするときはエレベーターを利用することが多いのだが、たまに降りるために待っている階の番号が点滅し、乗る寸前に階の番号が消える。結構怖い。

当然乗るのは異なる階へと行くためのものであるが、その運動は単純な上下の平行運動で、特別な場合を除き、外は分からないし振動もさほどないため、上下の感覚を失い、自分がどのような状態になっているのかまったく分からなくなるときがある。


建物が大学の棟、という個性を極力排したつくりでもあるためにどの階も似たようなつくりなので、降りなれていない階でいつもの階のように振る舞い、いつもと同じではない違和感を感じることもある。

異階=異界にいくものとしてのエレベーター、それを作り出す要素としての均質化された建築空間。均質なものと違和感を覚えさせるもの。そしてそれらのつながり。視線を遮断して、もう一度つなぐという作用。箱に閉じ込められることによる身体の拘束感と感覚とのかかわり。

もう少し整理して考えてみたい。

死刑台のエレベーター[完全版]

死刑台のエレベーター[完全版]

まだ見ていないけれども、このような作品もある。