無題

写真を“読む”視点 (写真叢書)

写真を“読む”視点 (写真叢書)

読了。

チャンドラーの訳は当然、清水俊二。というか、彼以外の訳でチャンドラーを読んだことがない。

『プレイバック』を最初に読んだのはおそらく高校生のころだと思う。あのころは読んでも良くわからないところが多かった。もちろん、それなりには面白かったのだけれども。
今、改めて読み返してみると、『プレイバック』に出てくる懐の深さみたいなものは、当時の高校生だったころに比べると、少しは感じ取ることが出来るようになったのかもしれない。
本に書いてあることは一緒であるけれども、感じ取る側が変わったということを教えられた。

『写真を<読む>視点』は写真史を根底に置きながら、それが社会、歴史などのほかのテキストとクロスオーヴァーする部分から具体例(広告、ヌード、プロパガンダなど)を取り上げて写真の見方(分析の仕方といってもよいか)を考察するという趣旨ではないだろうか。個人的に現代アートインスタレーションとの関係を取り上げた章は特に注目した。
その中でも、メッセージ性、テクスト性といったことやシークエンスということが背景として共通して感じられた。

この本を読んで僕が自分のやることに関係して興味深く思ったのは、写真というものの身体性=触れる/触れられる、見る/見られる、や「虚構」の「肉体性」といった現象学的な感覚と、接触性ということだ。もちろん、こういった概念は写真にのみとどまるものではないと思うので、これからも考えていこうと思う。

取り付きやすい本だと思います。

一日中、雨が降ったり止んだりだ

川べりには蜻蛉も多い