恐喝こそわが人生 [DVD]

恐喝こそわが人生 [DVD]

ストーリーとしては、下克上ものとでもいえようか。社会の底辺がトップに挑んでヒエラルキーを覆そうとする。それは窃視に基づく恐喝によって実行される。散漫な視線ではなく、対象の弱みという一点に限りなく集中していく過剰なまでの視線。目が限りなく増大していく。これに関して最も面白かったのが、主人公たちが顔を黒く塗る(靴墨か)シーン。眼部だけが白く他は黒くなり、ある意味では「見る」という行為が限りなく純化されていく。それと最後の松方弘樹の顔が荒れた画像となってアップになるシーン。
コミカルではあるけれども「仕事人」のような作品で見られる深作の疾走感があまりなく、個人的にはやや物足りない一本だったか。